奔走彼女

□Ressembler
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「一年生諸君はじめまして。大我の姉の火神千穂、よくココに遊びに来る一般人です。よろしくー」

リコと日向に促がされ、簡単な自己紹介をした千穂は愛想よく微笑んだ。

「一般人、か?」

「一般人でしょ。社会人とも言うがね」

首を傾げる日向に、アホかーとわき腹にチョップを入れる。

「時々ここに遊びに来てはちょっかい出すんで仲良くしてちょ」

「千穂さんにはよく手伝ってもらってるの」

リコが補足を入れる横で、千穂はトタトタと黒子の前に移動する。

「クロちゃんお久ー。相変わらず背伸びてないねー」

「お久しぶりです、千穂先輩。背のことはほっといてください」

黒子の返答にケタケタと笑いながら、火神と同様にガシガシと撫で回した。

「黒子とも知り合いなのか!?」

顔広いな、と呆れたような感心したような、微妙な声を出す火神にニヤリと笑いかける。

「おぅ。可愛い可愛い後輩だよん♪」

ギュッと黒子に抱きつく千穂に、火神と日向の顔が引きつった。

「千穂先輩はよく練習に付き合ってくれてたんです」

「キセキの世代とよく1オン1してたんだよ。まぁ、私が勝ったけどな」

「え……、えぇーー!?」

驚く部員(黒子と日向除く)に対し、黒子を抱いたままエッヘンと胸を張って見せる。

「まぁ、最後にやったのはクロちゃんたちが三年のときだけどね」

懐かしいなぁ、と黒子と笑いあう。

「千穂は帝光出身だったもんな。で、今日は練習参加すんのか?」

「うにょっ!? ……うー、今日は見てようかな。あ、でもあとで大我と1オン1したい」

黒子から引き離しながら日向が尋ねると、千穂はそのまま日向に寄りかかって答えた。

「了解、カントクに言っとくわ」

寄りかかる千穂を特に気にすることもなく、日向はそのままリコに声をかける。
そのまま動く様子のない千穂を、火神は力任せに引っ張った。

「う? どったの?」

「まだちゃんと説明されてねぇんだけど」

あぁ、と頷くと、火神の前にきちんと立つ。

「私だけこっち残ったでしょ。一昨年くらいまでは帝光に入り浸ってたんだけど」

「入り浸ったのか」

「卒業生だし。去年くらいから誠凛に入り浸ってる」

帝光にもたまに遊びにいってたのだよ、となぜか胸を張る千穂に、火神は深く溜め息をついた。

「よし、じゃあ練習再開するか」

「だって。頑張ってー」

ポンッと火神の背中を叩くと、そのままベンチへと歩いていった。






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