奔走彼女

□Ressembler
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 入学式から幾日か経ち、一年生たちはそれぞれ仮入部という形で部活に参加していた。
火神大我も例に漏れず、放課後バスケ部員として練習している。

「一旦休憩ー」

リコの声に、全員練習をやめて水分補給のためにベンチの方へ移動する。

「何かカントクやけに笑顔じゃねぇ?」

一年生の声に反応したリコがその笑顔のままクルリと振り返った。

「うふふっわかるー? まぁ、もう少ししたらわかるから」

ニコニコと上機嫌なリコを見て、一年生たちは首を傾げる。

「あ、もしかして今日来るとか?」

タオルで汗を拭きながら伊月が尋ねると、リコは更に笑みを深めた。

「そうなのっ! さっき連絡あって来るって!!」

嬉しそうな様子を見せる二年生たちを、一年生は不思議そうに眺める。

「誰か来るんスか?」

「ん? あぁ、あとでわかるよ」

一年生の様子に気付いた日向が楽しそうに笑いながら答えた。答えになっていなかったが。
一年生同士で顔を見合わせたとき、体育館の扉が開けられた。

「ちはーッス。皆の衆お久ー」

軽い挨拶と共に慣れた様子で入ってきたのは一人の女性だった。
赤い髪は高く結い上げられていて彼女が歩くたびに揺れ動き、猫のような真朱色の瞳でバスケ部員を見る。スーツのような黒い服を着込み、ニコリと人のいい笑みを浮かべている。

「なっ」

「千穂さんこんにちはっ」

「こんちは。リコちゃん相変わらずかわいいねっ!」

千穂と呼ばれた彼女はリコの元へと行くと彼女の頭を撫で回した。

「そしてみんなもお久!」

「ちわッス」

リコに抱きついたまま二年生たちに声をかければ、全員が挨拶を返した。

「な、何でここにいんだよ!?」

突然立ち上がって千穂を指差して声を荒げる火神に、全員が怪訝そうに視線を向ける。

「いよぅ大我ー。ついこの前以来だね!」

「そうだな、こっち戻ってきたとき以来…っじゃなくて! 何でここにいんだよっ姉貴!!」

「え? 何でって暇だったし、ここよく来るし」

リコから離れてなんでもないように答えると、火神に駆け寄って背伸びしながら彼の頭を撫でた。

「デカイなチクショー」

撫でにくい、と言いながらもガシガシと撫で続けていると火神は慌てて振り払う。

「んなことはいいからちゃんと説明しろよっ!」

「その前にアンタが説明しなさい。え、なに、姉貴?」

慌てて間に入ったリコが二人を見比べた。






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