1day1story

□入浴中
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只今入浴中。
そんなに風呂に入れなかった昔の俺が見たら驚くかもしれない。

今では至福のときでもある。

バスタブの中に身体を沈めて色々考える。

務所に居たころ、じぃさんからの一通の手紙と脱獄。
ベルナルドやルキーノ、ジュリオにイヴァンの顔。
顔すら知らない母親の形見。
務所に入る前の自分。

今までにあったことが浮かんでは消えて‥‥‥、
それはいい思い出だったりそうじゃなかったりとするけども。

入浴って1つの空間だと思う。
1人で入って考え事をするには丁度いい。



「‥‥ジ‥‥‥ャン‥‥‥‥ジャン‥‥‥?」



肩を揺らされて起きた。
どうやらいつの間にか寝ていたらしい。
目の前にはベルナルドの心配そうな顔があった。



「随分と出てこないから焦ったよ‥‥ジャン」

「ゴメン‥‥‥」

「まぁいいさ。まさか寝ているなんてね」



微笑んだベルナルドに謝ってどれくらい出て来なかったか聞く。
1時間半くらい経ってるらしく普段の時間より長すぎて見に来たらしかった。



「心配かけてゴメンネ、ダーリン」



ベルナルドが言葉を返す代わりにジャンの前髪をかきあげて口付けを落とす。
1つひとつの行動をいとおしく思いながら抱きついた。



「やべっ!俺濡れてるんだった;;;」

「構わないよ、」

「そう‥‥?」

「ハニーだからね」



ニッコリと笑顔が返ってきて、私も入ろうかな?なんてベルナルドが言う。



「ダーリン、暖めてくれる?」

「勿論」



もうかなり温くなった浴槽のお湯から身を少し乗り出しながら言う。

そうして、ジャンっ服を着たままのベルナルドは一緒に入ったのだった。






(ダーリン、服着たままでいーの?)
(気にしない、気にしない、)




2011/09/18(日) 17:52
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