NARUTO部屋
□雪道の話
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寂れた街道沿いに、こぢんまりとした茶店があった。
客は少なく道に人も無い。後ろ暗い人物も幾人か、束の間の屋根と温かい食事を求めていくようなそんな店だろう。
足を止めて二、三度見遣る。多少小腹は空いているが、しかし。
(……先を急ぎましょうか)
白い息を吐いて、針葉樹の森を仰ぐ。
灰色の空より幾つか綿雪が降り始めている。
寒さも空腹も疲労も、然したる問題にならない。自分には。
雪道に大柄な男の足跡が一筋残る。
その数歩先を歩んだ青年は、今は亡い。