NARUTO部屋
□延命協力の話
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安宿の一室。窓の外は曇天。
もうすぐ降り出すだろうか、などと強いて余所事を考えながら、鬼鮫は傍らに横たわる相方を見た。
熱が下がらない。頬は酷く熱いというのに青白く、生気が無い。
ぬるくなった布きれを盥の水へ浸す。こんなことをもう2日も続けていた。
「…駄目ですよイタチさん、こんなところで死んじゃ」
あんなこと言ったからには、ちゃんと示して死んでくださらなくては。
仲間殺しの忍共の辿る、安穏さなど無い、凄惨な、ろくでもない死の最中で。アナタはろくでなし以外の何になって死のうというのか、それを示して逝ってくださらなくては。
こんな病だのそこいらの追い忍の不意打ちなんかでなく、アナタがアナタ自身を理解して死ぬような、そんな死でなくては。
「もっとちゃんとした所で死んでくださらないと」
「…そんなに気になるのか?」
俺の死に様が、と。
苦しい息の下から苦笑交じりの応えが返る。
聞こえていましたか。
「ええ、参考にしたいので」
何か考えをお持ちなようなのは何となく分かりはするので。
あの方の計画の邪魔にならない範囲でしたら、アナタのやりたいようにやれるよう、多少手伝いはしますから。
だから。
「もう少し、生きてくださいね」
私のために。
「善処しよう。俺も俺のために」
二人顔を見合わせて笑って、冷たい布を額へと戻した。
本当に仕方のない奴だとアナタが少し悲しそうに言ったのは、聞こえなかったふりをした。