ユウの小説

□愛妻弁当
1ページ/1ページ





「ほらよ、今日の弁当。」
「ん。ありがとう、兄さん。いつも助かってるよ。」
「気にすんなよ!弁当代貰ってるし。…あ!弁当、絶対昼ん時開けろよ!絶対だぞ!」
「え…う、うん。」

雪男に弁当を手渡すと、思わず笑みが零れた。

俺がこんなに念を押したのには、勿論理由がある。
俺のおかげで女共にキャーキャー言われるアイツをギャフンと言わせたくて!今日は弁当に、ある細工をしてあんだ。
さっすが、俺!

ふっふっふ、
昼が楽しみだなぁ〜







―昼休み―

「雪男くんっ、今日はどんなお弁当なの?」
「あたしにも作り方教えて!」
「え〜ずるーい、あたしも!」
きゃいきゃい

今日も憎たらしい位、雪男は頬を染めた女達に囲まれている。

何であんな奴が…
何で俺じゃないんだっ

「…だから僕が作った訳では…」

そうだ、
早く開けろ、雪男め〜

「……………え、」
「「「え?…なに、」」」

「何これ…『愛してる?』」
「…ちょ、雪男くんなぁに?これ…」

今日の弁当にはこの前失敗したリベンジを兼ねて、ピンクの桜でんぶとかまぼこを使って、文字を書いてみました〜
(ハートつき)

さぁ、ドン引きされるがいい!


「…燐、何やってるの?」
「え、やぁ、ちょっと雪男の様子をだな!」

ヤベ、
陰から雪男達の様子を見てた所をしえみに見つかっちまった…。

「?…雪ちゃん?」
「え?」

チラリ、
雪男に視線を戻すと。

「…。」

「ちょ、雪男くんっ!?」
「だ、大丈夫!?」

「…………さん、」

そ、そんなに辛いのか…?
雪男は顔を手で抑えて俯いていた。

バンッ
「「「「「え?」」」」」


こ、こっちに近づいて…?

「雪ちゃ、」
「しえみさん。少し兄さんお借りしますね。」
「う、うん………。」

「はっ、離せっ…………わっ?」

ヤバい、怒らせたか?

………。
てゆうかっ、
こ、こ、こ、これって、お姫様だっこって奴か!?
こんな軽々とっ!
弟のくせにっ!

い、いや、そうじゃない!
「降ろせっ〜!」







抱えられたまま、暫くギャーギャー騒いでると。

ストン、
「?」

突然降ろされた。
ここは、誰も使ってない塾内の教室…?

「兄さん」
「な、何だよ?」

雪男が眼鏡を片手でくい、と持ち上げる。

え、なんか黒………。

ニッコリと、雪男はイケメン宜しく爽やかな笑みを浮かべていたが、何故か俺は寒気がした。

「あんなこと、照れなくても口で言ってくれれば良いのに。」
「は?」
「まぁ、良いか。…撤回はナシだよ。責任取ってもらうから。」
「え、え、え〜〜〜〜〜〜〜」





その後は………。
クソ雪男のやつっ///

いつかぜってぇリベンジしてやるからなっ///!



_


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ