戦国無双
□嗤う鬼
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明るい未来を望む者がいる。
「いつか、この戦が終わったら、二人で桜を見に行こう」
「幸村様―――」
終わらない戦いに終止符を打とうとする者がいる。
「戦を終わらせれば――そうすれば、皆が笑顔の素敵な世が来る――」
「我らは三成殿についていきます――!」
新しい、希望に満ちた未来へと道を拓くそうとする者たち―――
次世代に平和な世を託そうと足掻く者たち―
――
それを、冷たい目で離れた場所で見つめる男がいた。
全てを観ている男。
―一体彼らのうち、何人が約束を果たせるのであろうか―――
ククク、とくぐもった笑い声を出す。
男の瞳は望む望まぬと関わらず、全を映す。・・・観えてしまう―――
今日笑いかけて来た者たちが、血まみれになり地に横たわり、動かなくなって行く様が―――
屈辱に震え、望みを果たせなかった憎しみと悲しみに囚われた魂の叫びが聴こえる―――
暖かい手が冷たくなり、皆死に絶えていく中、己のみが立ち尽くしている―――
幾つもの墓石が詰まれてゆく。我の名を呼んだ者たちが一人一人、歴史の荒波にもまれ、儚く散ってゆく。
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