戦国無双
□お前なんか嫌いだ!!
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「あれぇ?三成、こんな所で何をしているの?」
ひょっこりと、上方から逆さまになったねねの顔が現れた。……天井裏から出て来たようだ。
「おねね様……普通に危ないですよ」
そんなねねに呆れながら、三成は一応注意をする。
よっ、という声と共に天井からひらり、と着地したねねはスタスタと三成の隣りにやって来て、三成の手元を覗き込んだ。
「へぇ〜、次の戦に備えて策を練っていたんだね」
「もう近々に控えてますからね……、おねね様は一体何をしてらっしゃったので?」
「そうそう!三成に差し入れを持ってこようと思ってね〜」
「いりませんよ。…普通に邪魔ですから帰って……って」
要らないと拒否したというのに、ねねはゴソゴソと“差し入れ”を取り出そうとしている。
――っていうか、差し入れを入れてる場所……
ねねは何と、豊かな胸の狭間から取り出そうとしていたのだ。
――おかしいだろ!?
三成は固まりながら、内心突っ込んでいた。
「はい!おにぎりだよ!」
そう天真爛漫に笑うねね。しかし、さすがに主君の妻の胸から――というか女性だろうが男性だろうが――出された差し入れなど、あまり食べたくはないわけで――
「断ります。全力で断ります」
二回繰り返して、強く拒否する。
しかし、ねねはそんな三成の胸中など気付く訳もなく。
「んもう!好き嫌いだなんて悪い子だね!」
ぺちぺちと三成の頭をはたくねね。
しかし、そんな事を言われても、困る訳で。
「おねね様…食べ物をそのような場所にしまうのは止した方が……」
そうさり気なく注意をすると、ねねは不思議そうに首を傾げた。
「あれぇ?でも孫市はすごく喜んでいたんだけどなぁ」
――雑賀孫市。後で埋める――
三成の脳内ブラックリスト上位に雑賀孫市の名が記録された。
(嗚呼もう!俺はこの人が苦手なのだ!左近、早く助けに来い!)
早速、根を上げた三成は、己が一番信頼する腹心、左近の名とその頼もしい顔を思い浮かべる。もちろん一番の親友は、吉継であるが。
「左近だってまんざらでもなさそうにしてたのになぁ、何が駄目だったんだろ」
―左近、貴様もか!!!
更にブラックリストが更新される。
三成の、左近に対する信頼が100ポイント下がった。
―どうして俺の周りには、こんな奴しかいない!
既にかなりパニクっている三成。
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