戦国無双

□黄金と緋色と光と
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「太陽は、何故あのように輝くのじゃ?」

小さな少女が、青空を照らす太陽を眩しそうに見つめながら、大男に問う。

「不思議じゃのう」

緋色の大男は喉を鳴らしながら答えた。

「昔…かつてこの地には光が存在しなかったのだ…暗き大地は絶望し嘆き苦しみ、命など芽生えなかった。永き時の間、天と地の狭間でただの石ころでしかなかった星は嘆く地を見つめていた…。その憂える横顔を見守っていた……光を知らぬ大地を照らし得る大きな光が生まれ、大地を照らしてくれますように……と………」

緋色の男の謳うような語りを、純真な少女は真摯に耳を傾けていた。

「弱き微かな祈りは何十にも幾重にも折り重ねられ、いつしか輝くようになった……祈り続けた星は黄金の輝きを身に纏い、太陽となり、地を照らして…。母者の輝きを知った大地はようやく永き嘆きから開放され、微笑んだ。祝福され、愛の元育まれた命は芽吹き、花々が地を美しく彩った。今も地を照らす太陽の、あの輝きは黄金の祈りなのだ」

「黄金の、祈り……」

天を仰いだ、少女の唇からぽつんと零れた言葉に男は、ん?と少女を見る。

「わらわも、黄金の祈りのような存在になれるじゃろうか?」

男の服の裾を引っ張りながら、見上げてくる無邪気な瞳。

「ククク、さぁ、どうであろうな。それはうぬ次第だが、このような落ち着きのない姫君では無理かもしれぬぞ」

男は意地悪気に笑う。
う、と少女は俯いてしまった。
しかし、と俯いた少女の頭を撫でながら続ける。

「我はうぬならなれると思うておるぞ。あの太陽のように、な……」

少女は、うん、と頷いた。それを見て男は、クククと笑う。


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