戦国無双

□狗よ狗よ 汝を如何せんや
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氷海のように蒼い瞳が、見据えてくる。

風魔のこの瞳が、半蔵は苦手であった。

透き通っていて、そして何の感情も浮かんでいないその瞳は、心の内側まで見透かされそうで、嫌いなのだ。

それをごまかすように、些か、きつい声を出した。

「何が」

「…………うぬも、早死にする犬なのだな。さぞ家康公は嘆くだろう」

なんのことか、分からなかった、し。

知る必要も感じなかった。

「…まあよい、それは、犬の宿命なのだろうな」

そういう風魔は、足元で寝そべる犬の毛を梳くのに夢中になりだした。

こうなれば、もう半蔵の言葉など、届きはしない。

半蔵は、やれやれと立ち上がる。

最後に部屋を去る際、肩越しに風魔を見遣る。

相変わらず、半蔵に背を向けたままだ。

「言っておくが、俺はお前より早く死ぬ気など毛頭ないからな」

ぴくり、と風魔が反応した。

その血色の悪い、青ざめた唇が微かに動く。

未来を見通す蒼色の瞳が、細められた。

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