‡滅紫の花の名は‡

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一八の血を体内に取り込み、自らをデビル化させる――

言うだけなら簡単なこの方法は、当然のことながら実際は全く容易ではなかった。

血液検査や細胞の検査を繰り返した後名無しさんの体内に注入された一八の血によって、名無しさんは何度も生死の境をさまよった。


名無しさんの中で少しずつ形を成していくデビルが、名無しさんのすべてを自分のものにしようと暴れ、時に名無しさんの心の弱い部分を容赦なく抉る。

少しでも気を緩めると精神を乗っ取られ、暴走しかけたところをデビル化した一八が押さえ込みようやく自分を取り戻す、ということもしばしばだった。


しかしそれらのことごとくを、死をも厭わないその覚悟と強靭な精神力、そしておそらくは持って生まれた血の力とで名無しさんは跳ね除けた。


そうした日々の中で、少しずつ名無しさんを認め始めたデビルと名無しさんは折り合いを付けていく。

名無しさんとデビルの間でどのような契約が交わされたのかは分からない。

そして完全な契約など存在しないと分かってはいたがそれでも、不安定ながらも名無しさんは自らの意思で自らの体をデビル化させることに成功したのだった。










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