‡滅紫の花の名は‡

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名無しさんがいない間に改良された薬で、名無しさんのデビル化は劇的に変化し安定した。

モルモットのように扱われていた実験は、緩和か慣れか、少し楽になったように感じられる。


そして自分の中のデビルと向き合いつつ自分が優位に立つための訓練と、一八とのセックスという相変わらずの日々。


最近はことが済んでもお互いの部屋に戻ることは少なくなっていた。

その晩も一八の腕の中でまどろんでいた名無しさんは、雲の切れ間から顔を出した月の明かりに誘われるように空を見上げた。


明日は満月。

月を見つめたまま名無しさんは、きゅっと唇を引き結んだ。


戻って来て最初に抱いた時気を失った名無しさんの唇からこぼれ落ちた「仁」は“倒すべき相手に対して”なのか“愛する男に対して”なのか。

そんな名無しさんの様子を何も言わず見ていた一八はしかし、もしかしてお前は、とは口にしなかった。





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