‡腕の中の真実‡

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平穏な日常を揺るがす存在は、突然やって来た。

それは、一八が海外へと飛んだ直後の事件。


「きゃああぁぁっ!!」

特殊な防弾強化ガラスが音を立てて砕け散る。


そこに立つ、ひとつの影。

砕けたガラス片も飛び込んでくるSPたちもものともせず、名無しさんに真っ直ぐ近付いて行く。


「いや…っ、来ないで…!!」

「逃げて下さい、早く!!」

向かって来る影から後ずさりする名無しさんをかばうように立つSP。


「何が目的だ…風間仁…!」

「どけ。お前たちに用はない」

「うぐあっ!!」

「きゃあっ!」

SPをあっさりと殴り飛ばし、風間仁と呼ばれた男は名無しさんに対峙した。


「来い」

「いやっ離して…っ、!」

腕を掴まれ全力で抵抗する名無しさんだったが、腹部に受けた強い衝撃にその意識を強制的に闇へと落とされた。


仁はゆっくりと崩折れる名無しさんの体を抱き上げ、自分を狙うSPたちの方へ振り返る。

当然、構えられた銃から弾は発射されない。


我関せずと言ったふうに悠々と歩く仁は、そのまま自分で開けた穴から身を躍らせた。

それを下方で待っていたヘリが回収し、爆音を残し飛び去って行く。


かくして名無しさんは、風間仁の手に落ちたのだった。

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