人形遊び

□doll1
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ある日の日本でのこと。
ボンゴレファミリーの暮らすお屋敷の一角で、ボスと家庭教師が困っていた。

「ど、どうしようリボーン」
「落ち着けツナ。ボスが動揺してどうする」
「だって俺、自信ないよ」
「腹据えろ。俺だって経験のないことだ」

リボーンと呼ばれた男はちら、と静かにソファに座る少女を見た。
まるで人形のように微動だにせず、瞬きをしなければ本当にそうなのではないかと思うほど、美しい少女だった。長く伸びた艶やかな金髪も、ぷっくりとした小さな唇も、見れば見るほど人間とは思えなかった。数々の美女を囲ってきたリボーンですら惹かれてしまいそうなほど精巧に作られていた。
はあ、と二人は同時に深く溜め息を吐いた。

「まさか育てろなんて言われると思わなかった」
「発見したのがヴァリアーじゃしょうがないだろ。あいつ等に任せたらどんな殺人狂になるか」

そう言われて成長した姿を想像したツナは顔を歪めた。
あいつ等に任せたら確実にぶっ飛んだ性格になる。超直感を使わなくともそう思った。

「だからって、なにも俺達に押し付けることないじゃん」
「九代目が言ったんだ。諦めるしかねえだろ」
「九代目が言ったって言ってもさあ、あの人『何事も経験』って無駄に達筆な字の手紙送ってきただけじゃん。もう年だから怒るに怒れないし。この怒りはどこにぶつけたらいいの」
「確かにな……」

そう言うやいなや二人揃ってどこからともなく銃を取り出しくるくると回し始めた。
あまりにも自然に銃を扱うそれは不気味な光景だ。まるで撃ちたくて仕方ないというように銃を弄んでいる。
目の前で拳銃を見せられても少女は顔色一つ変えず、ゆっくりと瞬きを繰り返していた。
――異様な光景のそこへ、パイナップル頭の男が飛び込んできた。

「六道骸様が戻りましたよ愚民共!」

獲物発見、と言わんばかりに目を光らせ、なんの打ち合わせもなしに心臓目掛けて打ち込んだ。


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