人形遊び

□doll2
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「説明を要求します」

いつになく真剣な、けれどまだ混乱しているような顔でだらけている二人に詰め寄った。
テーブルを挟んで向かい側に座るツナとリボーンは面倒臭そうな顔をして迫ってくる骸を適当にあしらう。

「あーうるさい。説明って、見たとおりだよ。骸の隣に座る女の子は生きた人形で、人間にするために育てろって九代目から言われたの。保護したのはヴァリアーだけどあいつ等じゃどんな人間になるか心配だっていうことで、俺達が任された。これ以上どう説明しろっていうのさ」
「そうですね、まずは貴方達のその姿勢について聞きたいところですがあえてスルーしましょう。――僕が聞きたいのはどうして人形を育てると人間になるのかってことです」
「それについては俺達もわからない」

いい顔でそう言い切ったリボーンは途端に真面目な顔になり、ただ、と続けた。

「ヴァリアーから聞いた話じゃ話しかけると反応はするらしい。こんな風に――来い、葵」

名前を呼ばれた瞬間、葵と呼ばれた人形が少し反応した。

「――はい」

初めて聞いた少女の言葉は人形と呼ぶにはぴったりで、どこまでも感情というものがなかった。ただ反射的に返すように組み込まれたプログラムのようだった。ソファから降り廊下を歩いたらこつこつと音がなるだろう靴で、毛の長い絨毯を歩く。
自然に、人間のように歩く少女をツナと骸は驚きを隠して真剣に見つめている。
リボーンの前までいくと立ち止まり、じっと顔を見つめた。リボーンはにっと笑って抱き上げ、自分の膝に乗せた。

「――ということだ。わかったかお前等」
「わかったけどさ、リボーン。膝に乗せる必要はあるの」

じとっとした目でリボーンを見た。けれどそ知らぬ顔でさらさらの髪を撫でている。

「葵が俺の膝に乗りたいって目で訴えてきたんだ。仕方ねえだろ」
「うわあ喋らないことをいいことに勝手なこと言ってるよこのロリコン野郎」
「なに言ってんだツナ?人形を抱いてるだけだろうが」
「十歳前後の女の子を誘拐しようとしてる20代のおっさんにしか見えないよ」

終わりの見えない応酬に呆れた骸はぱんぱんと手を鳴らし終わらせた。

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