人形遊び

□doll8
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「早く起きたって、それだけでこんな時間からきたんですか?」

骸は自分の声が大きくなるのがわかったが、とめることはできず半ば叫ぶように言った。
信じられないという顔をする骸にマーモンはしれっと言う。

「言ったろ。僕達に理由なんてものはないって」

呆気にとられ呆けた顔をしていた骸は俯いた。
長い前髪で表情は見えなくなった。
訝しげな顔で見ていたヴァリアーの耳に、小さな笑い声が聞こえた。
肩を震わせ笑っている骸は独り言を言うように、けれどしっかりと言った。

「ああ、ああ。そうでしたね。そうでした。貴方達は非常識の塊みたいな人達でしたね」
「骸お前、大丈夫かぁ…?」

思わずといった風にスクアーロが心配そうに声をかける。
すると骸は顔を上げてふう、と息を吐いた。
その顔はにっこりと笑っていて、不自然で不気味だった。

「貴方の心配には及びませんよ、スクアーロ。寝てなくて頭がおかしくなってるだけです」

決して大丈夫だとは思えない台詞を吐いて、踵を返して歩き出した。
ついていけない骸の行動に戸惑い、あるいは呆気にとられたのかもしれない。ヴァリアーは足が進まなかった。
着いてこないヴァリアーに気付いた骸は体を半分振り向かせ、嘲るような顔で笑いかけた。

「どうしたんですか?会いたいんでしょう。貴方達の姫とやらに」

そう言って再び歩き出した骸のあとを、微妙な顔をしてヴァリアーは着いていった。
どこか警戒したような、不気味がっているような、不安そうな、顔をして。



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