人形遊び

□doll9
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入ってきたリボーンに、不愉快そうにツナは顔を歪めた。

「どういうことだよ、リボーン」
「葵がそう思ってんだ。なあ?」

腕の中の葵に聞くと、不安そうに、けれど真っ直ぐにツナを見つめ頷いた。
どこかむすっと怒っているような葵にツナは困ったように笑った。

「私、会いたかった」
「それなのにツナが意地悪したんだよな」
「うん。ボス、意地悪した」

最初に見たときのように無表情で、本気で怒っているような葵に責められツナは押し黙った。
何度か口を開くがどれも言い訳にしか聞こえない気がして、閉じているしかない。
憎たらしく口角を上げて笑っているリボーンをじとりと睨んだ。
すると、今まで黙っていた骸が口を挟んだ。

「いいじゃないですか、綱吉くん。このまま意地悪なんて汚名背負って生きていくの嫌でしょう?」
「骸まで、そんな簡単な問題じゃないんだって」

難しい顔をして続けようとした言葉を遮り、骸は真剣な顔をした。

「どんなことに興味が湧いても、最後に決めるのは葵自身です。少しは葵のこと信じてあげてくださいよ、綱吉くん」

悲痛ともいえるような声に、ツナは自分が責められているように感じ俯いた。

「信じてるよ。信じてるけど、心配なんだ」
「――お前だけが不安だと思うな」

低く沈められた声にはっとした。
――俺一人だけが心配になって、不安になっているのかと思っていた。
なんて勘違いだろう。
ツナはふっと笑い、大人しくなってしまったヴァリアーに仕方ないというように笑いかけた。

「わかった。ただし乱暴な言葉とか使わないこと。葵は女の子なんだからね」

ぱっと目に見えて明るくなったスクアーロやベルフェゴールと違い、ザンザスは少し顔が緩んだだけだった。
それでもツナにもヴァリアーにも嬉しさは伝わり、沈み込んでいた空気が明るくなる。

「ありがとう。ボス」

いつもより少しだけ頬を赤くして、葵は微笑んだ。



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