人形遊び
□doll10
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「なんでみんな、そんなに笑ってるの?」
小首を傾げながら聞いた葵に、スクアーロは困ったように笑った。
「なんでって、葵に会えたからだぁ」
「私に会えると、嬉しいの?」
「あなたが引き取られてから私達、ずっと寂しかったのよ」
哀愁を帯びた笑みをサングラスの奥から漂わせ、ルッスーリアは葵の髪を撫でる。
ますますわからないというように首を傾げる葵を抱きしめているベルフェゴールは、さらにきつく抱きしめた。
そしてにっと三日月のように笑った。
「葵は王子と会えなくなってなにかが足りなくなった気がしなかった?」
「ここが、なくなったみたいな感じ、した」
ここ、と言って自分の心臓を押さえた。
それを聞いたマーモンが見えている口元だけで薄く笑った。
「それが、寂しいってことだよ」
「そう、なんだ」
じゃあ、と言い葵はザンザスを見た。
「ザンザスも、寂しかった?私に会えて、嬉しい?」
他意なく純粋に聞いている葵だけが見るのならザンザスも素直に答えたかもしれないけれど、興味津々というように凝視してくるベルフェゴールやルッスーリアのせいでザンザスの眉間には恐ろしいほど皺が寄った。
射殺せるほどの目をしていても葵はじっと目を見ていた。
やがて葵の視線に負けたのか、聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った。
「ああ……そうだな」
一瞬だったけれど、確かに笑った。
それを見ていた葵も、つられて笑った。