□昼寝
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「乱菊さんは本当に息抜きになるんでしょうから良いですよ。京楽隊長は朝から見あたらないんです」
 七緒は眉間に皺を刻み、溜息混じりに愚痴を吐き出す。
「剣ちゃんも朝からみないよ〜」
「やちるは自分が朝から遊び歩いているんでしょうに」
「えへへ〜」
 乱菊が指摘をすれば、やちるは笑って誤魔化す。

 三人が店を出ると、七緒一人別れて春水を捜しに向かおうと思っていた。
「あたしも、しゅんしゅんさがしてあげる!」
「あたしも、探すの手伝うわ」
 七緒は素直に喜べなかった。
「…あ、ありがとうございます…」
 やちるは遊び気分満々だし、乱菊は春水の酒をあてにしているのが解るからだ。



 この日はそれはそれは良い天気だった。
 歩いていると少し汗ばむ程だ。
 そのため、七緒は心地よい風が吹いていそうな土手を探す事にした。
 川下の方から順番に、川上に向かって探していく。
 やちると乱菊も辺りを見渡し、対岸も見て探す。


「あ」
「…あら」
 乱菊がふと顔を上げ、七緒も呟く。
「あ、剣ちゃんだー!」
 そう、七緒の探し人ではなく違う人物の霊圧を感じてしまったのだ。
 やちるが剣八の姿を見つけ、駆け出す。

「剣ちゃーん!!」
 そのまま剣八の胸の上に飛び乗る。
「…ああ?」
 剣八が目を覚まし胸の上にいるやちるを見て、再び目蓋を閉じる。
「もー、剣ちゃんったら…あ!しゅんしゅんにひっつーみーっけ!」
「え?あ、本当だ」
「あら、珍しい組み合わせですこと」
 剣八に隠れるように、春水と冬獅郎が横たわっていた。
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