◇BLEACH

□感謝
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 日が傾き、空も朱に染まり、やがて暗闇へと移っていく。
「もう、帰らなくちゃ」
 今度、ここへ隊長を誘おうと思いながら帰り道を急ぐ。
 帰り道、ふと明るい事に気がつき、空を見上げると満月が昇っていた。
「満月…」
 月を見上げ、足を止める。
 止めた足を、八番隊へと向ける。


 八番隊の執務室にはまだ灯りが見えていた。
 大きな影が過ぎる。
 辰房が動いている。
 七緒は慣れた道を進み、執務室へと向かう。



「はい、これでおしまいです」
「うーーーん、お疲れ様」
「はいっ、お疲れ様であります」
 辰房は書類を抱え、執務室を出て行く。七緒は、辰房が出てくるのを見届けると、一呼吸置いて扉を叩いた。


 春水は、伸びをして窓の外を見る。すっかり日が暮れ満月がぽっかりと昇っていた。
「どうりで、明るいはずだ」
 その時、ひっそりと扉が叩かれた。
「は〜い、どうぞー」
「失礼します」
「わあ、七緒ちゃん!!」
 七緒は机の上を見て春水に微笑み掛ける。
「な、何?ちゃんとお仕事したよ??」
「ええ、ですので、隊長をお誘いに参りました」
「………え?」
 春水は驚きすぎてまともに反応できなかった。
「本日は満月なんですけれど」
「あ……、う、うん、嬉しいなぁ、七緒ちゃんからのお誘いなんて」
「行きましょうか」
 七緒に主導権を握られて、春水は慌てて後を追う。
 いつもと勝手が違い、調子が狂う。
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