◇BLEACH

□存在
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 剣八はやちるを弓親に任せ、部屋を出ようとすると弓親に止められる。
「隊長は側に居てあげて下さい、病気の時って一人は心細いんですよ」
「そんなもんか?」
「ええ、一角にも伝えてありますから、隊長は側に」
「そうか」
 弓親に説得され、剣八はようやくやちるの側に座った。
 間もなく弓親がうどんとともに、四番隊から届けられた薬を運んできた。朝食がまだだった剣八の分も、忘れず持ってきている。
 二人揃って遅い朝食を取る。
「うう〜ノドにしみる〜」
「喉が荒れてるからですよ。ゆっくり食べて下さい」
 二人は甲斐甲斐しく世話を焼く弓親を、心底ありがたいと感じた。
 他の十一番隊隊員では、こうはいかない。細やかな配慮が行き届く。風邪など初めての経験で、何をしてよいのかわからないから、尚更有り難みがわかる。
 食事を取り終えると薬を飲まされ、再び横にされる。
「風邪は良く寝て、良く食べるのが一番です。寝汗もすごいでしょうから、汗を掻いてきたら、汗を拭って着替えをさせてあげてください。汗をそのままにすると、悪化しますから」
「ああ、わかった」
 弓親の指示に素直に頷く剣八。
「それから、お暇だと思いますから書類持ってきました」
「……」
 気の利き過ぎる五席に、苦笑いしかできない。
「副隊長、お口開けて」
「あーん」
「飲み込まないで、舐めて下さいね。喉にいいですから」
 そう言ってコロンと一粒の金平糖を口の中へ入れる。
「ホントだ、あんまり痛くない」
「でしょ?さ、ゆっくり寝て早く治って下さいね」
「弓っち…行っちゃうの?」
 やちるが心細そうに、弓親の袖を引く。
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