◇BLEACH

□珍しき事
4ページ/6ページ


「ん…寒…」
 身を震わせて目を覚ますと、開けっ放しの障子から夜風が入ってきている。
 腰に回された春水の腕を持ち上げ離れると、障子を閉める。乾いた喉を潤す為に水を飲むと、春水の元へと戻り布団へ潜り込む。

「…ごめん」
 春水は七緒を抱き寄せて、冷えた体を温める。
「…起してしまいましたか?」
「ん…」
 気だるげな瞳を七緒に向け、気まずそうに謝罪する。
「…隊長も、酒に溺れることがあるんですね」
 七緒は呆れた表情を向ける。
「自棄酒は、するもんじゃないね…。性質が悪い…」
 己の行動を全て覚えているらしい。
「……吉良副隊長と話をしている所をご覧になっただけで、どうしてこんなことに?」
「いやあ、それがさぁ、吉良君だけじゃなかったんだな。これが」
「……今日話したのは、後は円乗寺三席と、浮竹隊長だったように思いますが」
「浮竹の方」
「…まだ、疑っていらっしゃるのですか?」
「違う違う。ただ、お似合いに見えただけ」 
 七緒は完全に呆れかえった。なんという理由でこの人は酒に溺れたのだろうと。
「今日は日が悪かったんだよ…、浮竹と七緒ちゃんの噂を聞いちゃってさぁ…、その前に吉良君との会話を見ちゃったもんだから…」
「噂?」
「ほら、ボクを探す為に、ちょくちょく浮竹のところ行くだろう?それを誤解した噂だよ。浮竹と出来てるんじゃないかって」
「………それって、隊長の自業自得じゃないですか」
「解ってるよ…解ってるから、酒に逃げたんだよ…」
 春水は申し訳なさそうに、七緒を見る。
「……京楽隊長」
「はい…」
 七緒の眉間に皺が寄っている。身を起こし、半眼になり春水を見下ろす。春水も神妙に返事をする。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ