◇BLEACH

□好奇心
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「…あなたは…」
「うん?」
「…あなたは…ずっと更木隊長にくっ付いていかれるのですか?」
 ネムが興味を持ったらしく、一角に逆に同じ質問をする。
「ああ。俺は付いて行く」
 迷いなく言い切った言葉に、ネムは微笑を浮かべた。
「………」
「へ?」
 その微笑の美しさに、一角は喉を鳴らし唾を飲み込み、阿近はありえないと言わんばかりに、口を開け呆然とネムを見返した。

「…失礼します」
 ネムはそっと頭を下げて出て行った。
 取り残された阿近と一角は、思わず顔を見合わせる。
「……美人…だな」
「まあ…な…。それにしても…」
「あ?」
「…涅隊長以外に、あんな微笑を見せたの…初めてだぜ…」
「……俺も…初めてだ…」
「ん?」
「…笑われなかった…」
 剣八に付いて行くと迷いなく言い切る一角を、笑わず受け止めたのはネムが初めてだったのだ。


「惚れたぜ…」
「……は?」
「いい女じゃないか」
「ちょ、ちょっと待った」
「まあ、今すぐどうこうするわけじゃねえんだ。良いだろ?」
「…う…あ…」
「……おっと、やべえ、早く戻らねえと!!じゃあな!!アレ頼むぜ」
 一角は慌しく出て行き、取り残された阿近は呆然と呟く。


「嘘だろ…?」
 阿近はネムがどう作られたか一番良く知っている。マユリの側で見てきたから。
 一角の反応も、ネムの反応も、信じ難いものだった。
 滅多に動揺せず、取り乱さない、阿近だったが、このときばかりは違った。



「嘘だろ…?」
 



 この時から、二人の心に互いの姿が残り始めたのだった。




了。
 
 
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