□声
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「だって…今日はアタシの誕生日、明日はあなたの誕生日でしょう?」
 喜助の言葉に、夜一はきょとんとして喜助を見返した。
「大晦日と元旦くらい、死神を忘れちゃいけませんか?」
 喜助はほんのりと笑みを浮かべ、夜一を見る。
「……ロマンチストじゃな…とても研究者とは思えん」
 夜一は口端を吊り上げ、喜助を見返す。
「…だって、夜一サンの色っぽい声を一度聞いてみたいんですよ…」
 夜一は溜め息を吐くと、喜助の正面へ回り込み、自ら腰を落とし、喜助の身を己の中へと沈めていく。
「…夜一…サン…」
「…ん…ふ…、ちゃんと儂を善くせぬと声は出ぬぞ…」
「勿論…」
 喜助は微笑み、夜一の背を支えながらゆっくりと押し倒し、刑戦装束を脱がせ、豊かな胸を口へと含みながら、反応を探り攻めていく。
「あ…ん…ああ…」
 喉から漏れる甘い声に、喜助は震える。
「夜一サン…」
「…あ…喜…助…ああ」
 互いの身体に刻み込むように、深く深く交わっていく。
「ああああ…」
 自分でも驚くほど素直に、喉から声が出る。今更抑えようにも抑えきれない。
「すごいっスね…随分感じちゃってる…」
「あ、ああ。喜助っ、もっ…」
 喉を晒し仰け反り喘ぐ夜一に、喜助は嬉しそうに目を細め、より一層深く身を沈めていったのだった。



「はあ。最高でした!」
「……喜助」
「何でしょう?」
「地下空間にな、温泉と小屋を作ろう」
「いいっスけど?」
「声を出すときはあそこが一番いい」
「はい!」
 

 喜助が嬉々として、地下空間に温泉と小屋を作り上げたのは、言うまでもない。




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