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□追い駆けっこ
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「お?」
「更木隊長?」
そして剣八と七緒は顔を付き合わせる事になった。
「七緒ちゃーん!!」
「剣ちゃんっ!!」
其々に、其々の相手に何故か追われていることを悟り、剣八は七緒の襟首を掴むと、背に乗せた。
春水とやちるは頷き合うと、やちるが春水の背に乗り、剣八と七緒を追い始めた。
「おいっ、何か良い方法はねぇのか?」
春水とやちるから逃げながら、剣八は背にいる七緒へと問う。
「え?あ、はい。そ、そうですねぇ。草鹿副隊長でしたら、甘味につられますよね?」
「ああ、まあ、それが一番だろうな」
「では、美味しい甘味処へご案内します」
「おう」
「では、まずそこを左に曲がってください」
逃げる道、剣八は鋭く舌打ちをする。
「…たくっ…」
「そこを右に」
「あいつら何とかしろよ」
「何とかとおっしゃれましても…。草鹿副隊長の機嫌を直せるのは、更木隊長以外に誰がいらっしゃるのですか…。あ、そこ、また右です」
「おう……京楽の機嫌は、オメーが直せるんだろうな…」
「さあ…それは、どうでしょう…。そこ左に」
何故このような事態に陥ったのか。剣八も七緒も訳が分からない。解る事はただ一つ、やちるも春水も凄まじく機嫌が悪く、剣八も七緒も思わず逃げ出してしまったことくらいだ。
「あ、そこです!そこのお店!」
七緒の指差す店に剣八は飛び込んだ。
甘味処へ飛び込むと、非常に運よく、この店の人気商品が運ばれてきた所だった。
剣八と七緒という異色の組み合わせに、店内にいた者達が唖然としている。