□追い駆けっこ
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 やちると春水が日向ぼっこしていた時だった。

「うん?これは七緒ちゃんの霊圧。もう見つかったかな?」
「ふーん?あ、剣ちゃんだっ」
 二人は登っていた屋根から、下を見下ろし其々の想い人の位置を確認する。
 二人の屋根から見て、七緒は右の道に、剣八は左の道にいた。


「伊勢副隊長」
「なんでしょう?」

「あのっ、更木隊長!」
「ああ?」

 七緒は後ろから男性死神に呼び止められ、剣八が女性死神に呼び止められている。其々呼び止めた側の表情に、やちるも春水も嫌な予感に顔を見合わせる。
「…ねえ、京ちん、あれどうおもう?」
「どうもこうも、どう見たってあれはこれから告白する顔でしょう」
「だよね…。でも、ただ邪魔したってだめよね…。七っち怒るよね…」
「良く知ってるね、やちるちゃん」
「人の言葉さえぎるの七っちいやがるもん」
「その通りだ…。そこでやちるちゃんに提案だけれど」
「なにしたらいいの?」
「更木君の方から、七緒ちゃんの方へ追い立ててくれるかい?ボクも七緒ちゃんの方から、行くから。更木君が七緒ちゃんを攫って行く形に持っていく。告白する所を見るくらいよりマシだ」
「同感っ!」
 二人は顔を見合わせ大きく頷き合う。もたもたしていられない、二人供話を聞く体制になっている。
「やちるちゃんっ!」
「うん、京ちんまかせて!!」
 やちるは大きく頷くと剣八の前に飛び出した。

「剣ちゃんっ!!」
「な、なんだっ!?」

「七緒ちゃんっ!」
「京楽隊長?」

「剣ちゃん!!それは何っ!?あたしをさしおいてなんなの!?」
「ああ?何のことだ?」
「何のことも何もないわよ!!」

「七緒ちゃーん!!」
「え?な、何ですか?」

 剣八はやちるが怒った表情にこれは話しても無駄だと思い身を翻し、七緒は飛びつかんばかりの春水の迫力に後退った。
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