□愛ゆえに
2ページ/5ページ

「…や…いや…」
 首を小さく振り、嫌がるが春水の指は一層深く速く動きだす。
 七緒は息を荒くし、目蓋をきつく閉じている。

 二人のいる場所は旧市外地だ。
 人は見当たらないが、日は高く明るい。しかも七緒が春水に捕まえられた場所は、崩れた壁際で、無理矢理身体を開かれようとしているのだ。七緒が嫌がるのは無理もない事だ。
 不意に胸への圧迫が無くなったと思ったら、帯紐が解かれ、袴の後ろがはらりと落ちた。着物の裾を手繰り上げられ、七緒は身震いした。
「…や…隊長…嫌…」
「……捕まった七緒ちゃんが悪いんだよ…」
「ひっ!」
 冷たい言葉と共に、灼熱の身が勢い良く入ってきた。
「んん…」
「七緒…」
 低く上ずる声に、荒い吐息を聞かされ、七緒は春水の身を締め付けてしまう。
「…俺のだよな…七緒…」
「ああっ」
 何時もの道化た口調でなく、切なげに不安げに囁く声に、喘ぎ声を上げる。
 七緒の喘ぎ声に突き動かされるように、春水は背後から激しく突き上げる。
 七緒の手を壁に突かせ、春水は腰をがっちりと掴み、荒々しく激しく腰を突く。
「あっ、あああっ」
 昼間なのに、外なのに、無理矢理の行為なのに、何故こんなに気持ちが良いのだろう。
「俺の…ものだ…」
「ああっ」
 呻くように洩らす声に、七緒は蜜を溢れさせる。
 
 荒く乱暴でも、春水は七緒だけを求めているのだ。
「ああ…や…だめ…ああっ…」
「ち…」
 七緒は首を振り、拒絶の言葉を口にし、春水は舌打ちをしより乱暴に腰を突き動かす。
「や…あ…あ…いく…いっちゃう…」
 膝が崩れそうになり、激しい突き上げに、眼鏡も外れかけている。悶える七緒の言葉に、春水の表情が一変する。
「あああっ」
「…くぅ…」
 達してしまった七緒が春水を締め付け、春水は誘われるように、奥深くに精を吐き出した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ