□風と風邪
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「ええ、ですが帰り道も濡れますから、このままで結構です。すぐにお暇しますから…」
「何を言っているんだ。こんなに冷えているのに、すぐには帰さないぞ」
 微笑を湛えて返す烈を、十四郎は引き寄せて凄みすら見せて引き止める。
「いけません、あなたまで濡れてしまいます」
「じゃあ、脱げばいい」
 十四郎の凄みに、烈は逆らう事を諦めた。羽織りを脱ぎ、衣紋掛けに掛けて、死覇装も脱ぎ、襦袢姿になり、髪を解き手渡された手拭いで水気を拭う。
 十四郎は脱いでいく様を見届けて、掛け布団を持ち上げた。
「そのままでは風邪を引くぞ」
「はい」
 何時もと気遣う立場がすっかり逆転している。だが、風邪の恐ろしさは肺を病む十四郎だからこその、心配なのだとも言える。烈は微笑を浮かべて頷き、素直に布団へと入った。
「随分冷えてるじゃないか」
 ひやりと伝わる冷たさに、十四郎は驚き抱きしめた。
「…では、温めていただけますか?」
「勿論だ」
 一眠りしたためか体調は回復している。十四郎は笑みを浮かべて頷き、唇を重ねた。

 ただ抱いて体温を分けていたのでは、十四郎が風邪を引いてしまう。だから、二人で体温を上げればいいのだ。



 十四郎は貪るように唇を重ねた。
 いったん唇から離れると、首筋や鎖骨にと唇を這わせながら、手は腰紐を探り解いていき、襟から手を入れて豊かな膨らみを掌に納めた。
「ああ…十四郎様の手は温か…」
「冷え切っているじゃないか」
 うっとり呟く烈に、十四郎は驚きながらも襦袢を脱がせて、両の掌に豊かな膨らみを納めて、ゆっくりと揉んでいく。時折口を寄せては、紅い跡を残していく。
 ゆっくりと温めるように手を動かし、体をずらすと烈の足を広げて、間に入った。
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