□確かめたい
2ページ/6ページ


「でもさぁ…、ボクら隊首会には、副官待機があるのに、副官の会議に付き添えないのは納得いかないなぁ」
 春水が唇を尖らせて抗議してみると、七緒が呆れた視線を向けた。
「部下が上司命令に待機するのは当たり前です。部下の会議に上司がくっついて来るなんて、聞いたこともないですし、迷惑です」
 七緒の言葉に、思わず他の副隊長達まで小さく頷いてしまう。
 隊長と言うものは副隊長にとって目指す人物であり、尊敬もするが、恐怖…畏怖の対象でもある。そんな対象に、会議を見張られては堪らない。
「そんなぁ…七緒ちゃん、つれない…」
「隊長かわいそう…」
「元気だして、隊長」
 しょんぼりとする春水に、女性死神達が慰める。
 その光景にぎょっとしたのは、男性の副隊長達だ。七緒の分厚い本攻撃が飛び出すのではと、ハラハラしていると、七緒はくるりと踵を返した。
「行きましょう」
「お、おう…」
 七緒の促しに、修兵が頷く。
「あ、な、七緒ちゃんっ」
「隊長、遊びに行くんじゃないんですか?」
「そうですよ」
「うん…けど…」
 女性死神達を誘ったのは春水だ。言い出した自分が行かなくてはいけない。
 だが、七緒が小言だけで済ませてしまう事が引っ掛かる。バシッとあの本でひっぱたかれれば、女性死神達もそそくさと散る筈なのに、それをしようとしない。それどころか自分に背を向けた。

 あの分厚い本でひっぱたかれると、鼻血が出るほど痛いし、叩かれたくない。
 けれど今は、本で叩かれるよりも胸が痛む。

「七緒ちゃんっ」
 春水は七緒の腕を掴んで引き止めた。
「何ですか?」
「今から、戻るから…」
「こちらは、まだ会議が終わっていませんから」
「…全員いないじゃないか」
 七緒以外の女性副隊長が見当たらない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ