□確かめたい
3ページ/6ページ


「だから?何だと言うんですか?隊首会の時だって、全員揃わない事がありますでしょう?同じです」
「…だったら、七緒ちゃん…」
 春水は七緒に詰め寄り掴んだ腕を引き寄せる。
「ボクと遊ぼう」
「……何をふざけた事を」
 春水の発した言葉に七緒の怒りが爆発した。
「最低っ」
 七緒は皆の見ている前で、手にしていた本を振り上げた。


パシン!


 春水の頬が真っ赤になっている。
 だが、その割に赤くなっている範囲は少なく、音も軽い。
 七緒は眉根を寄せて手を振っていた。
「叩いた私の手が痛いなんて、理不尽だわ」
 春水を叩く瞬間に本を落とし、掌で叩いたのだ。
「髭の感触が残って最悪。やっぱり本で殴れば良かった」
 七緒はぶつぶつと愚痴を零しながら、落とした本を拾おうとすると、春水の手が七緒の手首を掴むんだ。
「…ご免よ、七緒ちゃん」
「何に対して謝っていらっしゃるんですか?」
「……サボってご免」
「じゃあ、さっさと執務室へ戻って下さい」
「解った」
 春水が本を先に拾い上げ七緒へ手渡すと、女性死神達に微笑を残して、八番隊へと戻っていく。
 七緒は溜息を吐いて本の埃を払い落とし、副官達に向き直った。
「行きましょう」
「何時も大変じゃな」
「でしたら変わって下さい」
鉄左衛門の同情の言葉に、七緒は一瞥し溜息を吐き出す。
「いやあ儂じゃあ、言葉巧みに一緒に遊びに連れ歩かれるからのぅ」
「解る解る」
 鉄左衛門のぼやきに修兵が頷く。
「全く…」
 七緒の悩みが解るイヅルは苦笑いで慰める。
「でも…いいじゃないですか。うちの隊長なんて反省の色も見せないんですよ…」
 副官達が大きく溜息を吐き出し慰めるあっている姿に、女性死神達は七緒を責める事もできずそそくさと去っていった。
 女性死神達の姿が見えなくなると、長次郎が促した。
「今のうちにお戻りになるといい」
「は?」
「後は俺らでやっておきますよ」
「京楽隊長拗ねてるんじゃないですか?」
「後々厄介になるけぇ今のうちに」
 皆が七緒の背中を押し、春水の元へ行くよう促す。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ