□わんにゃん物語
2ページ/5ページ

 先日未完成の犬の薬を服用したところ、若返るという副作用が出た。これに飛びつく成金や貴族がいるのだ。マユリとしては薬を完全にしたい目的もあるのだが、思わぬ若返りの副作用は副産物と言っていい。
 誰も子供にはなりたくないが、若い体は欲しがる。十二番隊の面々に若返りに興味はなくとも周りが乗り気なのだ。マユリとしては実験している振りをすれば良いだけだ。従って、春水の頼みに一見渋りつつも実験体として扱っているのだった。


 結果、二人揃って色気も何もなく子供姿にさせられてしまったのだ。
「それにしても…これじゃ、何もできないワン」
「そうですにゃ…」
 二人はじゃれ疲れてごろりと布団に寝転がった。
「お風呂どーするワン?にゃにゃ緒ちゃんお風呂苦手になってるワン?」
「…んんー…水浴びくらいなら…たぶん…」
「よし、行くワン一緒に入るワン」
「はい」
 二人はこっそりと人目に付かないように移動し、風呂場へと向かった。
 春水は真っ裸になって風呂に向かうが、にゃにゃ緒はどうしたものかと思案した後、手拭いを体に巻き付けた。
「子供なのに恥ずかしがることないワン」
「だから、恥ずかしいにょ…」
「前も見たし?」
「ま、前は前にゃっ!…だって今は……」
 にゃにゃ緒は真っ赤になって俯き小さく呟く。
 春水の犬耳がぴくぴく動きにゃにゃ緒の呟きを聞きとった。
「…視線が近すぎるワン?」
「……」
「にゃにゃ緒ちゃん!可愛いワン!!」
 春水はにゃにゃ緒に飛びつき抱きついた。
「にゃっ!」
「さ、にゃにゃ緒ちゃん気にしないで手拭いとって、体洗うワン!」
 春水はさっさとにゃにゃ緒の手拭いを外してしまう。
「胸なんて気にする事ないワン」
「……そうですね、隊長もちっちゃいですし」
「うう!!」
 にゃにゃ緒の思わぬ反撃に思わずたじろぐが、春水は直ぐに気を取り直した。
「そんなことゆーと、この姿でも襲うワン」
「それはいやですにゃ」
「じゃ、大人しくするワン」
「……もー…しょうがにゃいですにゃ…」
「よし」

 二人はお互いの体を洗いっこし、風呂を上がった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ