□進化・sideA
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「にゃああ…あああ…」


 十二番隊隊長の涅マユリの作る薬は、日々進化していた。
 特に猫のバージョンは、ギンが頻繁にネダリ、そのデータを見返りに提供している為、初期の出来とは比べものにならない物になっていた。
 性交の道具の一つとして利用しているにも関わらず、マユリが乗り気なのには訳があった。
「改造魂魄が製造中止、研究中止でつまらないんだヨ。まァ多少面白みに欠けるが、動物によって特性が異なるし幅広いからネ。当分飽きないヨ」


 そして、研究対象に七緒が入っていた。春水が進んでと言うより、ギンが乱菊を標的にしているのだが、乱菊だけでは警戒されるので、七緒を巻き込んでいる。
 無論、春水と七緒にはそんな思惑を悟らせぬよう細心の注意は払っている。特に春水は不真面目な癖に、洞察力に優れ頭が切れるから油断ならないのだ。
 マユリとしては七緒を研究対象に入れたい理由がある。何せ初期の失敗した薬を飲んだデータがある。
 実際、乱菊と七緒では微妙に差があり、そこも興味深い。
 だが、春水が七緒を切り刻み細分まで調べさせてくれるはずもない。焦れったい程に集まらないデータに、マユリはかえってそそられてしまっているのだ。


 この日、ギンは怪しまれぬよう乱菊を夕飯に誘い、偶然を装い、春水と七緒がいた店へ顔を出した。そして春水が席を立った隙に、乱菊と七緒の食物に薬を落としたのだ。
 時間差で薬が効くようになっていたため、七緒の部屋へ着いた時に猫耳と尻尾が現れたが、ギンに文句を言おうにも、時既に遅く、春水は状況を楽しむことにしたのだった。
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