□僅かでも
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「あら、お珍しい。具合はよろしいのですか?浮竹隊長」
「ああ、あれ以来調子がいいんだ」
 四番隊の執務室へ、十四郎が一人ふらりと現われたのだ。
「山本総隊長に喝でも入れられましたか?」
「ああ、そんな感じだな」
 烈はお茶を入れ、十四郎へと差し出す。
 十四郎はソファに座り、茶を受け取り烈を見上げる。
「…どうされました?」
 十四郎の隣に座り、膝の上に置かれた手に、自分の手を重ねる。
「……また、部下を失う所だった…」
「…十四郎様…」
「烈が気が付いてくれたお陰だ、ありがとう」
「……」
「…一気に三人か…。本当に寝込んでいられないな」
「張り切りすぎて、無理は禁物ですわよ?」
 烈は微笑を浮かべ、十四郎の額に手をあてる。
「熱はないぞ」
「…そのようですね……。勇音」
「はい」
「…こちらを十三番隊へ届けて下さい。妹さんの様子も気になるでしょうから、ゆっくりしておいでなさい」
「は、はい」
 烈に微笑まれながら説明を受け、勇音は頬を染め頷くと、十四郎へ頭を下げ駆け足で出ていく。
「…烈?」
「隊首室へ参りませんか?」
「…あ、ああ…」
 烈の誘いの言葉に、十四郎はようやく状況を飲み込んだ。
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