□別れの花
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「…桜か…」
「ん?」
「…初めて恋次と離れた時に、咲いていたな」
「ああ…そうだな…」
 校庭に咲いていた桜。クラスが別れ、寮も別れ…、毎日会っていたのに、会う時間がうんと減ってしまった。


「久しぶりに…オメーと見てるんだな…」
「ああ…」
 二人は黙って桜を見上げる。


 どれくらい、眺めていただろうか。
 不意に、顔の前に影がかかり、恋次に抱き締められた。
「…恋…次…」
「ルキア…」
 ゆっくりと唇が重なった。
 幾度も、角度を変え重なり、恋次の大きな手が、ルキアの小さな胸を、死覇装越しに揉み上げる。
「…ん…んん…」
「ん…」
「…や…外でなんて…」
「誰も見ちゃいねぇ…」
 顔を無理矢理そらし、恋次の唇から逃れ、嫌がるが、恋次は軽く息を弾ませ、ルキアを桜の木に押しつけ、耳を甘噛みする。
「…ん…ダメだ…」
「ルキア…」
「桜が…見てるではないか…」
 頬を染め、大きな瞳を潤ませ、ルキアが恋次を睨む。恋次は、ルキアの言葉と表情に、喉を鳴らし呻く。
「……反則だぜ…それ…」
「…何を言っている」
「んな事言われたら、止まれるかっつーのっ」
 恋次はルキアの小さな体を抱き締め、唇を貪る。
「ん…んん…」
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