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□昼寝
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「…ふぅ…」
「おだんごおかわりー!」
「あ、こっちもお茶のおかわり」
七緒は茶を一口飲み大きな溜息を吐き出し、やちるは口に団子を頬張りながら空になった皿を掲げて注文し、乱菊も空になった湯飲みを掲げた。
「七緒、溜息ばっかりついてると、眉間の皺消えないわよ」
「……はあ…」
乱菊に指摘されても、溜息は止まらない。
「もう少し気楽に考えなさいよ。隊長の昼寝時間なんだから」
そうなのだ。三人の隊長は昼寝をしているのだ。それで示し合わせて甘味処へ入ってこちらも休憩を楽しんでいるところだった。
と、言うのは乱菊の言い分だ。
冬獅郎は祖母からの言葉「寝る子は育つ」を忠実に実行している。祖母の教えというのも勿論あるのだが、冬獅郎はある時重大な事実に気がつき、それ以来、睡眠時間はしっかりと取る。徹夜など以ての外だ。
そう、昼寝を趣味としている隊長が他にいたのだ。
それが、ここにいる二人の副隊長の隊長である。
剣八も昼寝が趣味だ。
と言うか、昼寝以外の趣味がない。後は戦いだ。
戦う為に、体は休ませて置く。
そんな剣八の体はとても大きい。巨漢と言って良い。
それが剣八だけならば、冬獅郎も簡単には納得しないだろう。
だが、もう一人居たら?
そう、春水がもう一人だった。
こちらは昼寝どころか、それ以上あちこちで眠っている姿を見ることになる。
ただ寝るというよりこちらは酔っぱらって眠ると言うほうが正しいだろう。
更に、病気で眠ってばかりの十四郎も同様に体が大きい方なのだ。
その事実に気がついてからは、冬獅郎は昼寝はよりしっかりと取るようになったのだ。