◇BLEACH

□言葉
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「わあ、キレイ!見て見て剣ちゃん!!すっごくキレイ」
 やちるが、剣八の肩の上ではしゃぐ。
 やちるの指差す方向には、山すそに広がる銀杏の木。
 一面を黄色に染めている。
 剣八はそれを美しいとは思わなかった。黄色一色に染まるその光景は変なものだと感じた。
「そうか?」
「キレイって思わない?」
「ああ」
「ふーん」
 やちるは拗ねるでもなく、銀杏の木を見ている。
「じゃ、空の色はキレイ?」
「あれか?普通じゃないのか?」
「うーん、じゃあこの色は?」
 壁の白を指差す。
「これは綺麗っていうのか?」
「血の色は?」
「ありゃ綺麗じゃねえだろ」
「そっかー」
 銀杏の木の下を歩きながら交わす会話。
 そういえば、ふと思う。
 俺はこいつに『綺麗』なんて言葉は教えていないんじゃなかったか?何時の間に覚えたんだろうか。
 気がつけば、自然に『綺麗』とか『可愛い』とか使っていなかったか?
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