◇BLEACH
□言葉
1ページ/4ページ
「わあ、キレイ!見て見て剣ちゃん!!すっごくキレイ」
やちるが、剣八の肩の上ではしゃぐ。
やちるの指差す方向には、山すそに広がる銀杏の木。
一面を黄色に染めている。
剣八はそれを美しいとは思わなかった。黄色一色に染まるその光景は変なものだと感じた。
「そうか?」
「キレイって思わない?」
「ああ」
「ふーん」
やちるは拗ねるでもなく、銀杏の木を見ている。
「じゃ、空の色はキレイ?」
「あれか?普通じゃないのか?」
「うーん、じゃあこの色は?」
壁の白を指差す。
「これは綺麗っていうのか?」
「血の色は?」
「ありゃ綺麗じゃねえだろ」
「そっかー」
銀杏の木の下を歩きながら交わす会話。
そういえば、ふと思う。
俺はこいつに『綺麗』なんて言葉は教えていないんじゃなかったか?何時の間に覚えたんだろうか。
気がつけば、自然に『綺麗』とか『可愛い』とか使っていなかったか?