◇BLEACH

□振り向かない・おまけ
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「あれ、君達、まだ一緒にいたのかい」
 ここは大浴場。四人の副官は、ろくな対策が立てられず、疲れ果て温泉に入りに来たところで、脱衣場でばったりと、彼らを悩ませる片割れと対面した。
「珍しいな、副官揃って」
「いやぁ、はははは…」
 春水は十四郎と連れ立って来ていた。
 十四郎は、事情をしらぬから、乾いた虚ろな笑みを浮かべる副官達に首を傾げたが、何気なく春水の背を見てぎょっとする。
「…おい、京楽……」
「何?」
「その…背中…」
「ああ…ここの温泉に入ると消えちゃうのが、残念だねぇ」
 死覇装を脱いだ春水の背に、蚓腫れがくっきりと浮かんでいた。
「ふふ、七緒ちゃんがサービスしてくれたから、はりきっちゃったよ」
「京楽、そんなものを見せびらかすな」
「ん?今日だけは特別」
「執務中に何をやってるんだ。全く」
「だって、七緒ちゃんが、ボクにひどい事したお詫びに、って言ってくれたんだもん」
「……もんって…」
「仕事終わらせた後だし、いいじゃない?」
「…伊勢も随分、寛容になったな」
 親友同士だからか、会話に遠慮がない。と、言うかここまで明け透けに、自分達の前で語っていいのかと、四人は冷や汗を流す。
 春水は、そんな四人をにやりと笑ってみる。
「他言しない約束だから、喋ってるに決まってるでしょ。ふふふ、浮竹だけに惚気るのも飽きて来てたんだよねぇ」
 四人の肩を順に叩いて、浴場へ向かう。待ってるよと、手を振って。
 十四郎は、気の毒そうに四人を見て、浴場へ。

 脱衣所に残された四人は顔を見合わせ、先刻の思いを改めて認識した。

「八番隊に逆らうな、が正しいのかもしれないっスね…」
 ぽつりと呟いた恋次に、残る三人は力なく頷いた。


「おおーい、早くおいでよ〜」
 浴場から掛けられるのんびりとした声に、四人は大きく溜息を吐き、しぶしぶと向かった。

 そして、延々と惚気を聞かされたのでした。(十四郎は、湯あたりして途中退場)




おしまい
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