◇BLEACH

□珍しき事
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 珍しく。
 本当に珍しく。
 酔っ払っていた。

 八番隊隊長、京楽春水が。

 
 七緒は信じられない光景に目を疑った。

 隊首室に散乱している、酒瓶、酒樽。
 そして、大の字になって転がっている、春水。
 鼾を掻いて眠っていた。


 春水は酒が大好きであるが、こんな無茶な呑み方はまずしない。
 酒に溺れるような呑み方はしない。
 桜を見ながら、月を見ながら、音楽を聴きながら、会話を楽しみながら、優雅に酒を楽しんで呑む。
 酒が好きで、仕事中も手放さなかったりもするが、アルコール中毒というほどではない。


 酒の酷い香の漂う中、七緒は部屋を横切り障子を開け空気を入れ替える。
 春水に着物を掛け、床を拭い、布団を敷き、酒瓶を片付け、酒樽を部屋の隅へと持っていく。
 カタコトと小さな音を立てての後片付けに、春水が寝返りを打ちうめく。

「…んん……」
「隊長?布団を敷きましたから、そちらで寝てください。風邪を引きますよ」
「……ん…」
 七緒が揺さぶり、声を掛けると春水は瞼を重そうに持ち上げる。
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