◇BLEACH

□私だけのもの
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 女性死神協会の副会長である七緒は少しばかり困っていた。

 この度、隊長の「写真集」なるものを出してはどうかという案が持ち出され。今回、八番隊隊長京楽春水にスポットが当たった。
 曰く、京楽隊長なら七緒が頼めば、嫌とは言わないだろうし、あの女好きが女の子に自分の写真集が買ってもらえるのなら、飛びつくであろうと。七緒は副会長と言う立場上断れなかった。
 この後には実は十三番隊の十四郎が控えている。こちらは、春水が参加したのだから、どうか?と誘えばいいのだ。二人同時発売にすれば、伝説級の二人であるからきっと完売間違いない。


「あの…京楽隊長…」
「うん?何だい?七緒ちゃん」
 七緒が言い難そうに、春水申し出る。
「仕事に関係ないことなのですが、よろしいですか?」
「いいよ?」
 七緒は春水に事情を説明し、写真を撮らせてもらえないだろうかと、頼み込む。
「え?ボクの写真集なんて出るの?うわ、嬉しいな、すごいな」
「写真を取らせていただけますか?」
「いいよ」
 春水は嬉しそうに、一つ返事で頷いた。
「何かポーズでも取った方がいいのかな?」
「いえ、日常を取らせて下さい」
「日常?」
「はい、現世での写真集などは、アイドルの日常を撮ったものが好まれるようです。一般の死神は滅多に隊長にお会いできません。日常の姿を写した方が宜しいと思います」
 眼鏡を持ち上げ淡々と七緒は語る。
「…ふうん、そっかー。判った、じゃ何時も通りにしてればいいんだね?」
「はい」

 そして、七緒は何時も通りにするのではなかったと程なく後悔をし始めた。
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