◇BLEACH

□届いた手
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 四十年。

 離れていても、心根は少しも変わっていなかった。
 少しずつ、少しずつ、今までの、互いのことを報告しあう。
「…不思議な感じだな…」
「ああ…」
 二人でのんびりと散歩を楽しんでいた。
 二人きりで歩く事も四十年振りだ。

「久しぶりだな…こうして歩くのも…」
「そうだな…」
「話したいことが沢山ありすぎる」
「俺もだ…」

 一日だけでは足りない。一週間あってもまだ足りない。
 離れていた四十年の出来事を何から話したらいいのだろうかと、悩んでしまう。

「……俺は、あの日からずっと後悔していた…」
 唐突に、恋次は語り始めた。
「……あの日に確信しちまったな…、オメーが好きだったんだと…」
「恋次…」
「ま、オメーは違うだろうけどな」
 家族だと思っていたはずだ。
「……そうだな…。海燕殿に、憧れて…」
「……一護…似てるんだって?」
「……ああ、似てる」
「そうか」
「……だが、貴様にも、似ている」
「俺?」
「…派手な髪の癖して、実は優等生とか、直ぐ怒鳴る所とか…」
「…外見かよ」
 恋次は苦笑いを浮かべて頭を掻く。
「……戌吊の生活はあんなに苦しかったはずなのに…、何度も戻りたいと思ってしまった」
 ルキアは話が纏まらないらしく、思い出したことを口に乗せる。
「……」
「海燕殿に出会って、ようやく居場所が出来たと思ったら…あんな事になって…」
「十三番隊は…心地良かったんだな」
「ああ…とても」
「俺も、十一番隊が一番性に合ってたな。我武者羅に鍛錬できたし」
「現世に行って、一護と出会って…否応無しに、色々なことを思い出して…」
「………」
「その間に、貴様は副官殿になってたようだが」
「…ああ、本当はオメーが現世に行く日に知らせはあったんだ」
 ルキアはにやりと笑い、恋次を見る。恋次も肩を竦め、悪戯めいた笑みを返す。
「そうか」
「…ルキア…」
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