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□抱き締めて
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「…七緒ちゃん」
ねだられるままに名を呼べば、嬉しそうに擦り寄るので、春水は七緒の不安が解ってしまった。
頬を撫で、唇を重ねる。舌を滑り込ませれば、自ら絡ませてくる。
襟元から手を差し入れ、まろやかな膨らみを掌に収めれば、腰が擦り寄ってくる。
「七緒ちゃん…欲しいの?」
「…欲しい…」
「…素直だね」
「……我儘…言っていいんですよね?」
上目遣いで七緒は確認する。不安であふれているから、我儘や甘えが許されれば、愛されていると実感できる。
「もちろん!」
「…隊長…いっぱい…して…」
瞳を潤ませ訴える七緒の姿に、春水は思わず生唾を飲み込む。
酒でも入らないとこんなに素直な七緒には、まずお目にかかれない。今回の事件に七緒は思いの外、ダメージを受けていたらしい。
「…隊長…私…お力になれず…」
元柳斎との一件も堪えているらしい。
付いていくこともできず、役に立てず、力があまりにもない己を恥じる七緒に、春水は苦笑いを浮かべる。
「七緒ちゃん、気にしないで。山じいには、ボクと浮竹二人揃って悪童扱いだから」
「……それでは…私は確かに赤子ですね…」
春水の言葉に、七緒はようやく笑みを浮かべた。
「じゃ、赤ちゃんな七緒ちゃんは、じっとしててね〜。う〜んと可愛がってあげる」
「悪戯好きなお兄ちゃんに、任せます」
春水がふざけると、七緒ものってくる。どうやら、少しは気持ちが浮上したらしい。
「言うねえ、七緒ちゃん。よ〜し!いっぱい悪戯するとしようか」
二人は顔を見合わせ笑い、戯れあう。
その夜、七緒の甘い声が途切れることが無かったのでした。
おわってしまえ(笑)