◇BLEACH
□誘われて
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「七緒ちゃんもどう?」
「いえ…」
流石に、いくら心地よいとはいえ、横になる気にはなれなかった。
「そっか、気持ちいいんだけどねぇ」
「…こうしているだけでも、充分に気持ちがいいです」
太い幹にもたれて、遠くを見る。
視界を遮るものがなく、柔らかな緑と真っ青な空はただ見つめているだけでも厭きない。
不意に、七緒の膝の上に、重みが加わった。驚いて見ると、京楽が頭を膝の上に乗せている。
「七緒ちゃんの膝は柔らかくて気持ちがいいねぇ」
セクハラですと言いかけて、言葉を飲み込んだ。折角良い気分をぶち壊す事もない。ここの景色と風は、七緒の心を寛大にさせていた。
「少しだけですよ」
「!ありがとう」
素直な七緒に驚きつつも、余計なことは言わない。礼を述べて、目を閉じる。余計なことを言って、口論するなんて勿体無い。こんな貴重なことはないのだから。
うとうととし始めた頃、妙に大きな霊圧が近づいて来た。
「これは、更木君だね」
「はい、草鹿副隊長も」
「うわぁ!気持ち良さそう!」
やちるの歓声が聞こえた。
「あらら、見つかっちゃたな」
「どうしますか?」
「ま、いいでしょ。あの雰囲気じゃ、あっちも散歩にでも来て迷い込んだだけのようだしね」
暫くすると、剣八とやちるの霊圧が穏やかに、小さなものになっていく。
「ああ、向こうも眠ったようだね」
「そうですね」
「じゃ、ボクも少し眠るね」
「はい、どうぞ」