◇BLEACH

□居場所
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「剣ちゃん!ただいま!書類届けてきたよー!」
 隣に行くくらいは迷子にならないだろうと、十番隊に書類を届けに行っていたやちるが帰ってきた。
「ああ、副隊長お帰りなさい」
「あ、つるりんもいたんだ!ただいま」
「それはやめろってんだろ!ドチビ!」
「…やちる」
「なーに?剣ちゃん」
「散歩にでも行くか」
「うん!」
 大きく頷くと、満面の笑顔で、剣八の肩に飛び乗る。
「どこ行くの?」
「何処行きてぇ?」
「剣ちゃんと一緒ならどこでもいいよ」
「俺もだ」
 さりげなく惚気が入った二人のやり取りを見て、苦笑いを浮かべる一角。
「何処でもいいっすけど、早く帰ってきて下さいよ?書類たまってんですから」
「ええー」
「面倒臭ぇな」
「今は、根無し草じゃないんすから、ちゃんと帰ってきて下さい」
 剣八は黙って一角を見下ろし、背を向ける。
「行ってくる」
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい」


 今、二人には戻る場所がある。『行ってきます』と『ただいま』の挨拶はこの場所で覚えたもの。


 男所帯の十一番隊で何時の間にか、見慣れた二人。


 何処にいても、どんな時も変らない二人。


 これからも、きっと変らない。


 ただ、居場所が此処であればと願うだけ。



おしまい



 
 
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