◇BLEACH

□言葉
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「お前、キレイの意味わかってんのか?」
「うーん、何となく?」
「じゃ、どんなもんだ?」
「えっとねぇ…、ビンに入った金平糖でしょ」
 真っ先に上がった喩えに、あきれた視線を向ける剣八。
「あ、何、剣ちゃん、その目。何よう!本当にキラキラしてキレイなんだからね!」
 ぷうと頬を膨らましてむくれる。
「解った解った、他は」
「んー、あ、剣ちゃんと一緒に見た虹、剣ちゃんと一緒に見たお月様、それから剣ちゃんと一緒にみた蛍…」
 指折り数えてあげる言葉に、剣八は軽く目を見張り驚く。
「やちる」
「剣ちゃんと一緒に見るものは何でもキレイだよ」
 参った。
 こいつは、思っていた以上に理解している。
「そうか」
「あ!銀杏落ちてるよ!」
 地面を指差す。黄色い落ち葉の間に見える銀杏の粒。
「こいつか」
 木を見上げ実がなっているのを見ると、おもむろにその木を蹴る。木を折ってしまわない程度に。すると、バラバラと銀杏が降って来る。
「わーい!」
 やちるは、剣八の肩から、ひょいと飛び降り銀杏を拾い出した。
「あ、でもどうやって持っていこう?」
「……印つけてそこに埋めとけ」
「そだね」
 土の中で実の外側を腐らせる。そうすると中から固い実が現れるのだ。
「また来て、今度は焚火して食べようね」
 
 放浪時代に覚えた食べ方。

「そうだな」
「お芋も持ってこようよ」
「ああ」
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