◇BLEACH

□金平糖
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「あ、あった。これ、どうぞ」
「わ!!金平糖だ!!いいの!?」
「ええ、何時だったか買って、副隊長にお渡ししようと思って、忘れてたんスよ。バタバタしてたもんで」
 やちるに手渡したのは、瓶入りの金平糖だ。瓶の表面には可愛い花が描かれており、瓶の首の部分を可愛く桃色のリボンでラッピングされている。
 何時だったか、まだ十一番隊に居たときにたいやきを買った帰り道で、見つけた物だった。折角だからやちるに渡そうと、買っておいたもの。直後に虚退治で呼び出され、すっかり忘れてしまっていた。そうして六番隊に移動となりその時に見つけ思い出したものの、渡す暇などなく、今まで恋次の机の中に入っていたのだった。
「ありがとー!!レンレン!!」
 やちるは嬉しそうに瓶を抱えて礼を言う。
「剣ちゃんに見せよっと!じゃねー!!びゃっくん!レンレン!」
 大きく手を振り、やちるは来た時と同じ様に元気よく飛び出し去って行く。
「……」
「草鹿副隊長、金平糖が大好物なんスよ。あ、でも一袋とか上げないで下さいよ。流し込むように食うんで、更木隊長に怒られますから」
「そうか…」
 それでも、白哉の表情は変わらない。恋次は肩を竦めて机に戻り、やちるから届けられた書類を捲り、思わず笑みをもらす。

【レンレンへ。いつでも十一番隊にあそびに来ていいからね!やちる】

 最後の一枚にそっと添えられていた手紙を、丁寧に畳み引き出しにしまいこむ。
 何だかんだ言って、長くやちるは副隊長をしているだけある。元部下を気にかけてくれているのだ。

「恋次」
「はい!」
 今の行為を見咎められたかと、びくりと姿勢を正す。
「金平糖を買って来い」
「…はい」
 金を差し出され、今すぐに行けといわんばかりだが、差し出された金額を見て眼を剥く。
「こ、これだけ分買ってくるんすか?」
「買って来い」
「はあ…」
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