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□満天星
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君はいつも
どこか遠くを見てて


時々無性に

寂しくなるんだ










『満天星』










天気予報師が星が綺麗だというから、小高い丘に来てみた。

ロベルトはひとり、足元のネオンから天空の、確かに美しい自然の繁華街に目を移す。
優しい光が目を癒した。


どこまでも暗い、闇に落ちた空。

この時、この空のどこかにある世界が懐かしくなったのはきっと、嘘ではないだろう。



「…………」



天界人。

自分の境遇にふと、疑問を持った。
何故自分はこのホシに「人間」として産まれなかったのだろう……と。



「こんなこと考えるなんて、久し振りだな。」



考えても意味がないことを考えてしまう。
変わることない事実。


ひとりは良くない。
余計なことを考えてしまうから。

でも、今までずっとひとりだった。



……いつから「孤独」が寂しくなった?


いつから……自分の生い立ちに疑問を持たなくても生きることができるようになった……?



「…………いつからだっけ。」



脳裏によく見る笑顔。
それは霞のように現れ、消えていく。



「…………はぁ」












「なに年寄臭く、溜め息なんかついてんだ?」







「…………」




「ロベルト?」


「…………は?!」



突然星空から転じて現れた顔に初めは暫し幻覚と間違える。
が、それが現実とわかったなり、ロベルトは素っ頓狂な声をあげた。

植木は心外だ、といった表情をして。
大丈夫かと尋ねた。
 
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