文集1

□キミの家、ボクの家
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扉を開ければ、暖かいご飯と、温かい笑顔。
そんな生活とは無縁な人生を歩んで来た自分には、夢の様な生活がそこにはあった。


「ただいま」
「ん、お帰りネジ」

肌寒い外の空気に、暖かい空気が交じるこの空気。何年振りに感じたのだろうと、ふと懐かしい気持ちになった。
それでも、出迎えてくれる人が新鮮で、今日からこんな風に恋人の元へ帰って来れるのだと思うと嬉しくなった。
「どーした?早く入れよ」
「あぁ、ありがとう」
扉を閉めると、美味しそうな匂いが溢れていた。
何度か手料理を食べた事はあったが、全くの2人きりは初めてで。2人分用意されていた恋人の手料理に、なんだか気恥ずかしくなってしまった。
「いただきます」
そう言って両手を合わせると、彼の手料理に舌鼓を打った。何でも器用な彼の料理は、相変わらず美味しかった。
只、2人しかいないこの空間が不思議で、あちこち見回してしまう。
2人きりだとこんなに静かな夕食になるのだと初めて知った。この静けさが楽しくて、何も言わずに食べ進めていた。
「ごちそうさまでした」
そう言うと、シカマルが遠慮がちに訊ねてきた。
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