文集2

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「こんにちは、ひばりくん」

彼は今日もやって来た。
用も無いのにやって来ては、只ウチで寛いで帰る。この繰り返し。
…でも、今日だけは少し違った。

「僕はこれで、君と左様ならをしなければなりません」

彼は何時もと変わらない不自然な笑顔をその憎たらしい顔に貼り付けて、抑揚の無い声でそんな事を言った。

「何寝惚けた事言ってるの。君と僕が左様ならをするのは、僕が君を咬み殺す時でしょう?」
無性に腹が立って、僕は彼に突っかかった。まるでソレは、僕の前から消えると言う彼を引き止め様としているみたいで。
馬鹿みたいだ。と思った。まるで別れ話を切り出された醜い女の様。縋りつく、未練タラタラ、もう諦めたら?どうせ君にはそんな価値でさえ無かったんだ。

僕は、ムキになって思わず声に出してしまった。


「ならいっそのこと僕をころせば良いのに」


その僕の声を聞いて、彼はにっこりと、本当にころしてやりたいくらいの笑顔で言い放った。

「そんなに僕がすきですか?雲雀恭弥」

しまったと、そう悟ったのは声が出て来てしまった後だった。





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