文集2

□9
1ページ/3ページ

空を見上げて、君は一言。


「まるで直ぐに剥がれて壊れてしまう、創り物の壁の様ですね。僕らはその壁に捕らわれた、哀れな飼い犬の気分です」


僕は良く解らなかったから、取り敢えず肯定だけして眠りに就いた。この“犬小屋”の、夜が明けるまで。

夜が明けたら君が起こしてくれれば良い。そしたら僕が、君を咬み殺してあげるから。



そうだったなら、僕はとてもしあわせなのに。だって、僕の夢が叶うんだよ?たとえ直ぐに壊れてしまう程に脆い壁なのだとしても、僕と君だけは壁から抜け出せるんだよ?

何故皆、自分から壊れ様とは考え無いのか。壁の外に出たいとは考え無いのか。

壁の内側はさぞかし気持ちが良いのだろうね。誰かから餌を貰って喜んでる様じゃ本当に救い様が無いよ。



僕は君を壊す事を決めた。君は僕を壊したいんだから、僕等は2人で生きれば良いんだ。

そうすれば、僕等は何時でも犬小屋から出る事が出来るから。












.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ