文集1

□素直になるお茶事件
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飲むと隠し事ができずに本心を語ってしまう、いわば自白剤のようなものを使ってバク・チャンがコムイの弱みを握ろうと躍起になっていたのはつい先程の事だ。無事に誕生日パーティー(?)も終わりを告げ、後片付けも収束を迎えた今、自室にポツリと佇んでいたコムイは、ふと、ポットに残されていた少量のお茶に目をやった。
先程の騒ぎの中心人物が、彼に飲ませたそのお茶は、ごくごく少量が残されていただけだったが、十分効果は有りそうだった。
『そう言えばさっき、リーバー班長も飲んでたな』
今更ながら、彼の気持ちを確かめなかった事が悔やまれた。
いつからなのか本人にもわからないが、コムイはリーバーの事が気になり始めていた。こうなると相手はどう思っているのか知りたくて堪らなくなるのが科学者というモノだ。
このお茶は、ソレにはうってつけだった。ほんの少しの間、相手の本音が聞けるのだから。
コムイがどうやって飲ませようかと考えていると、噂をすれば影、リーバーがひょっこりと顔を出した。
「室長〜、コレにハンコくださ〜い」
「!丁度良かったリーバー班長。お茶入れたんだけどいらない?」
「お茶スか?じゃあせっかくなんで貰います」

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